小西利行氏の「プレゼン思考」から見る、人生やビジネスの壁の突破の仕方

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自分の思いや考えがうまく伝わらないと悩むことはないだろうか。起業や新規事業、社内での立ち回り、新規顧客の獲得、転職面接など我々は至る所でプレゼンを行って人生を前に進めていく。

本書は博報堂から独立し、伊右衛門プレミアムモルツなど数多くの大手企業の広告支援を行なってきた小西利行氏が(https://twitter.com/konishi_toshiyu?s=21)プレゼンにおける、上手に物を伝えるための考え方や、そもそも伝えるべきものは何なのかを構築する方法について構造的に説明している。

プレゼンの型は「課題→ワクワクする未来の提示→解決方法(コンセプト、プラン)」

プレゼンの型は「課題→ワクワクする未来の提示→解決方法(コンセプト、プラン)」である。課題の無い所にプレゼンは必要ない。本書ではこの型に考えを持っていくために様々なフレームワークを提示している。トヨタ自動車で実践されている有名な「なぜなぜ分析」や、「そもそも思考」などを通して、本質課題を探す。私もスタートアップで新規事業を作っているが、議論をしている中で、どうしてもHOWの部分に早い段階で手を出しすぎてしまう。「プロダクトに〇〇の機能を実装しよう」とか、「顧客が〇〇に困っていると言っていたから△△という打ち手を打とう」と言った具合だ。しかし、こういったHOWに飛びつくと大体失敗する。表層的な課題の裏には本当の意味で大きなペインが隠れている。「なぜ顧客は◯◯の機能を欲しがっているのか」、「そもそもこの顧客はなぜ我々のサービスを使うのか」、「そもそも我々の事業は何のために存在しているのか」を突き詰め、本質課題を見極めた上で、施策や実装に落とし込まなければ無駄撃ちになりかねない。営業では基本といえば基本だが、相手が何に困っているのかを事前にヒアリングする必要がある。相手の課題に対しての理解が無いと提案は非常に難しい。

共感タグをつけてメッセージをより伝わりやすく

本質課題を見つけた後でぶつかる壁はメッセージの伝え方だ。本書では、「行動」「数字」「比較」といった「共感タグ」をつけて、メッセージをわかりやすくする手法が紹介されている。仮想通貨が一気に世の中に広まったのは、「めちゃくちゃ稼げるから」といった抽象的なメッセージではなく、「数秒で1億稼いだ人がいる」という強すぎるファクトの訴求が人々の体感に語りかけた。自己紹介でも、このスキルは応用出来る。「学生時代に合コンをやりまくっていた」よりも、「学生時代に合コンを300回やった」という方がインパクトが残る(もちろん嘘はNGだが)。

プレゼンの目的は相手を共犯者にすること

プレゼンにおけるマインドセットについても本書には書かれている。一番大事なのは相手に愛される事である。自慢話ではなく、自分のパーソナルなエピソードを話したり、地元の話をしたり、時事の話をするなどして、聞き手を仲間にした上で、プレゼンを進めるべきだ。また、相手を巻き込み共犯関係を作ることの重要性にも触れられている。プレゼンを行った後、相手からの反論が来て、論破しようとするのは二流。一流は論破するのではなく、相手の意見をしっかりと飲み込んでから話す。相手が話している間にカットインして自分の話に持っていこうとするのもプレゼンターとしては二流以下の行いだ。筆者はこの際に意識すべきフレームワークを「共感→言い当て→問いかけ」という風に体型化している。相手の意見にまずは共感し、その上で、相手のインサイトを言い当てる事で相手からの共感を勝ち取り、その上で更に良いコンセプトは〇〇ではないかと相手に問いかける。このプロセスを経て、相手を共犯者にし、目的へ向かって加速していく。

 

このように、プレゼンでは大枠の型があり、ゴールにたどり着くためのテクニックが本書には多数ちりばめられている。ビジネスや人生において、自分の思い通りに進まない時に一歩引いて、本書の考え方に当てはめて進めてみると良いだろう。

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