Mr.Children 「重力と呼吸」の感想

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とうとうMr.Childrenのニューアルバム「重力と呼吸」がリリースされた。ということで、何回か聞いた中で全曲レビューを書いてみたいと思う。

 

Your song
シャウトから始まる一曲目。心地よい低音を維持したままサビでわざとらしい盛り上げもなく進んで行く、ミスチルの中では割と新しいタイプの構成。Cメロがないのも新鮮。

 

海にて心は裸になりたがる
フジファブリックとかBUMP OF CHICKENあたりのJ-rockからの影響を感じる曲。その中にジュンスカのような青さが混ざり合った心地よい曲。ライブで盛り上がりそう。

 

SINGLES
一番の頭はなんとなくオザケンっぽい情景描写。「で、その後の」の「で、」を入れちゃうところが桜井節って感じで良かった。歌詞は全体的に残酷で、ミスチルには珍しく、最後のサビまで救いようのないくらい暗い歌詞に感じた。生きる上で必要な強さ、人生の残酷さが間奏のギターからも感じられた。

 

here comes my love
ミスチル得意のロックバラード。ここまででアルバムの前半の一区切り感がある。壮大で心地よく、和製モヘミアンラプソディーって感じの曲展開だけど世界観はミスチルって感じで新鮮だった。

 

箱庭
アルバムの中でもトップクラスに好きな曲。インタビューで桜井氏が今回のアルバムはエゴを前面に出したと語っていたが、この曲なんかはそれが顕著に現れてるのではないだろうこ。小宇宙をクルクル回ってる感じの不思議な世界観が斬新だった。若干フジファブリックのclockっていう曲を彷彿とさせられた。

 

addiction
薬やってる人の歌なんだろうけど、この想像力が凄い笑 ヒップホップとかだと、リアリティーのある表現が出来ない奴はダサいみたいな風潮があったりするけど、ある種ドラマとドキュメンタリーの違いくらい別のベクトルを向いてて、両方とも凄い。

 

Day by day(愛犬クルの物語) 
爽やかなギターサウンドと浮遊感のあるサビ。奥さんに先立たれてしまった老人が飼っている愛犬の物語なのかな?世界観が独特だけど心地よい。

 

秋がくれた切符
ヒカリノアトリエのホールツアーの世界観が若干残っている感じ。歳を重ね一息つきたい気持ちと、これからどこへ向かえば良いのかという漠然とした不安がなんとも言えない哀愁を醸し出している。

 

himawari
レコーディングし直した模様。アコースティックテイストが強くなって若干秋っぽさが増した印象。

 

皮膚呼吸
まさに今のミスチルというバンドを象徴する今日なのではないだろうか。ドコモのCMにてデモテープ音源が公開されてから、まさか化け方をするとは。。。年を重ねていくバンドがこれだけの求心力を持ってこれからどこへ向かっていくのか、非常に楽しみにさせてくれる一曲。

 

全体の印象

全体の印象としては、前作REFLECTIONで見せた4人組のロックバンドとしてのミスチルが、更に自分たちのやりたい音楽を突き詰めた作品だと感じた。SINGLESのギターの歪な感じは明らかにこれまでのミスチルとは違う。箱庭のような遊び心のある曲も、昔であればもう少し聞きやすいアレンジに変えられていた気がする。また、ヤフーのインタビューでも語っていたが、歌詞が全体的に淡白で深読みし辛い歌詞になっていた。

 

その分曲の解像度が高く、味の濃いアルバムに仕上がっていたのではないだろうか。

 

これから先ミスチルというバンドがどう進化していき、どうリスナーを楽しませてくれるのかが、更に楽しみになるアルバムであった。