スピッツの雪風に見る死と再生の物語

今日は2015年発売の雪風について分析して見たい。
まず1音目を聞いた瞬間にホッとする感覚やAメロの優しいメロディーがなんともスピッツらしい。スピッツとしては珍しく冬の歌である。雪風というタイトルもとても美しい。

ボーカルの草野さんはこの曲を死者の目線から歌った歌と述べている。この視点から雪風を分析していく。

 この曲は現実の世界で繋がらない誰かが自分の背中を押してくれるような安心感を与えてくれる。もう会えなくなってしまった人からこんな言葉をかけて欲しいという視点で歌詞を書いたのかもしれない。そんな優しい応援歌でもある雪風だが特に感動的なのは二番の歌詞だ。

現実と離れたとこにいて こんな風に触れ合える事もある

もう会えないって嘆かないでね

お願い 夢醒めたら 少しでいいから

無敵の微笑み見せてくれ

君は生きてく 壊れそうでも愚かな言葉を誇れるように

主人公は失ってしまった人のことが忘れられず、心の中でずっとその人と会話をしていたのかもしれない。そんな中「もう会えないって嘆かないでね」という歌詞にもあるように彼らの最後の交信がこの歌の中では描かれているのかもしれない。そしてこの夢が醒めても自分自身の信じた言葉や道を信じて歩いていって欲しいというエールがサビの中では描かれている。「愚かな言葉」とはまさに世間的には受け入れられなくても自分が正しいと思う言葉や思想を信じて歌い続けるスピッツ魂のようなもののことだろう。

その後の間奏は主人公が「巻き戻しの世界」から時空を超えて現実の世界に戻る過程なのだろう。

涙が乾いてパリパリの冷たい光受け立ち上がれ

まだ歌っていけるかい?

最後に主人公は失ってしまった誰かと別れを告げ大粒の涙も渇き、これから先の世界で強く生きていく決意をしたのであった。

そんな別れとはじまりの物語が「雪風」では描かれている。