べスト盤に収録されていないアルバム曲でミスチルの歴史を振り返る 最終回 (最新にして伝説のアルバムとなったREFLECTION)
今回でミスチルの歴史の振り返りはラストとなるが、ここ3年ほどのミスチルの活動はとにかく活発。2014年に入り、レコーディングも活発化し、秋にはファンクラブ限定で未発表の新曲のお披露目ライブを開催し、その模様を映像化したドキュメンタリー映画「REFLECTION」を上映、2015年春からは未発表曲発表のためのアリーナツアー。そして2015年6月4日にアルバムを発売し、そのままドームツアー「未完」へと移っていき、REFLECTIONプロジェクトが終了したと思いきや、その直後に対バンツアーを発表。アジカンやくるり、エレカシ、ヒートウェーブ、小谷美沙子などと対バンをして音楽性に新しい風を吹き込ませた。2016年から現在にかけてはホールツアーを二本開催し、夏からはドーム・スタジアムツアー。メンバーの体調が心配になるほどのハードスケジュールである。これだけ成功したバンドがその場に留まろうとせずこれだけの活動をしている背中を見て励まされているファンも多いのではないかと思う。
進化し続けているミスチルの最新作REFLECTIONは衝撃的なものであった。まずブランディングの観点からも、発表前に新曲お披露目ライブを開催したり、その模様を映画化し、ファンクラブの会報などでは楽曲の制作レポートを出したりと、ファンの期待値が絶頂となったところでアルバムを発売するという手法が素晴らしかった。またパッケージの種類も2種類あり、NAKEDとDRIPという23曲全部入り+ハイレゾ音源データ+DVD+デモテープ視聴権のデラックス・エディションとDRIPという12曲入りのノーマルサイズのアルバムが同時リリースされた。プロモーションとしても新しい試みを果たしたアルバムREFLCETIONのアルバム曲を幾つか紹介していきたいと思う。
アルバム『REFLECTION』
Fantasy
スピッツの『ロビンソン』をイメージして作ったそう。サビの最後で着地しない感じは確かにロビンソンっぽい。イントロは小田和正の『ラブストーリーは突然に』のようにインパクトがあり、ライブで湧くようなものにしたかったそう。仮タイトルは「王道」というだけあって、王道でかっこいい曲でありながら、サビは皮肉に満ちている。
FIGHT CLUB
映画「ファイトクラブ」のブラピに憧れた男の歌。疾走感と勢いがめちゃくちゃあるのにどこか物憂げな雰囲気が漂う。勢いに任せているけど本当は不安で仕方がない思春期の気持ちを表現している。激しい曲なのにCメロからのセッションが入ってくるのも面白い。闘争心を向上させたい人におすすめの一曲。
斜陽
当初アルバムの方向性として「自分たちが年老いていき、世代交代して新しい世代にうまくバトンタッチ出来たらいいな」みたいな方向だったと何処かで話していた気がする(どこだったかは忘れたw)。「斜陽」や「FIGHT CLUB」、終盤に収録されている「進化論」などからもこのアルバムの裏テーマのようなものを受け取ることができる。その反動として「未完」という攻撃力100の守備力0みたいなロックみたいな曲が収録されていたりもする。
音楽としては大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」とビートルズの「エリナ・リグビー」をあわせたイメージのものを創りたかったそう。独特なリズムや民謡っぽい感じがオリジナリティーを醸し出している。ミスチルの曲の中でも極めて芸術性が高い曲だと思う。『Q』や『 DISCOVERY』時代のエゴ丸出しの桜井に『HOME』や『SUPERMARKET FANTASY』 の頃の共通項の大きい歌詞が併せ持たれた完成度の高い曲になっているのではないだろうか。
蜘蛛の糸
とても大人で官能的な雰囲気の曲。3曲目の「斜陽」に続き文学作品から名前を取っているのがこの曲。イメージとしてはボズ・スキャッグスの「We’re All Alone」の世界観らしい。確かにしっとりしたピアノと美しいメロディーの世界観はとても近い。2015年のスタジアム・ドーム、アリーナで披露されたが、巨大スクリーンに美しい映像を映して演奏されていたのがとても印象的。
I Can Make it
ギターを3本以上重ねているというこの曲。桜井の作家としての苦悩のようなものが描かれている。サビの感じやベースラインがすごく洋楽っぽい。
ROLLIN’ ROLLING~一見は百聞に如かず
こういう曲をミスチルファンは長らく待っていたのではないかという曲。感情を共有する音楽ではなく桜井のエゴ全開の曲。後に登場する「REM」や「WALTZ」のような重たいロックではなく、ブラスも入れたキレのいいスピード感のあるロックというイメージ。
運命
初期ともまた少し違うキラキラした遊び心全開のかわいらしい曲。主人公の童貞感がとても良く、世界観的には「HANABI」のカップリング曲の「タダダキアッテ」に近いかもしれない。とびきり明るいんだけど、好きな女の子の涙をいつでもふけるようにハンカチを持ち歩いたり、妄想に身を委ねて自分を慰めたりとストーカー臭さえもする危ないけど可愛い曲。お蔵入り候補だったらしいけど、入れてくれてよかった笑
忘れ得ぬ人
とことん暗くてナルシズムのあふれる歌。EXILEのATSUSHIやK-POPスターが歌ってそう。
You make me happy
なんだかんだこういう曲は時間がたっても飽きないんだよなという曲笑。ゴージャスでハッピーな曲。ジャジーで聞いててとても気持ちがいい。
Jewrly
おしゃれな曲。スナックのママが歌っていそうな感じはSENSE収録の「ロザリータ」に近いかも。こちらはピアノよアコギがとてもおしゃれ。桜井曰く汚れっぽい田原のギターがいい味を出している。
REM
ダークなミスチルを極めた曲。ミスチルのロック系の曲を聞いていると桜井はMUSEのようなパワー系ゴリゴリロックが好きなのだろうなぁと感じる。そんなパワー系の桜井を存分に楽しめるのがこの曲。サマーソニック2013で披露されたのがとても懐かしい。この曲が出来たのを皮切りに今回のアルバムが振り切れる方向に向かったそう。そういう意味ではREFLECTIONの中でも鍵となる一曲。
WALTZ
桜井本人はこの曲において自身のアーティストエゴが最も現れたとも語っている。とてもダークだがREMのように勢いで押し切っていくというよりは曲の展開が変化しながら進んでいく。ミスチルの歴史の中でもこんなに実験的なロックはあったかというレベルでぶっ飛んだ芸術的なロック。イントロの爆発感からの落ち着いたAメロがとてもかっこいい。「誰も欲しくない 必要としないなら 耳を塞げ」という攻めのミスチルが見られるのはファンにとってはたまらなく嬉しい。この曲の歌詞は就活生の厳しい現実を歌った曲なのではという説が巷では流れている笑
遠くへと
ユーミンの「中央フリーウェイ」を意識したそう。爽やかな晴れた日のドライブで聞きたい歌。恐らく物語の主人公はバイクに乗っているのだが、車やバイク問わず、ロードムービーに並んでミスチルの中でも有数のドライブソングになっていると思う。
I wanna be there
リラックスいた雰囲気の歌。一人旅をしている時にこんな曲を聴くと泣いてしまう笑
ヒッチハイカーのようなワイルドな雰囲気なのだがどこか物憂げな雰囲気を漂わせているのがとてもいい。明るさの中に哀愁を漂わせているという意味では「FIGHT CLUB」に近い(音楽的には全然違うと思うが)。
未完
Mr.Childrenの骨格の部分だけが剥き出しになっている曲。肉付けが全くされていない。ゴージャス感がまったくなく、ボロボロになった男が自由を求め叫んでいるような感じだろうか。REFLECTION前後のミスチルはとにかく四人の物語を強く強調しているように思う。コバタケと制作過程の中決別し、バンドメンバー四人が主体性を持ちMr.Childrenを作っていくというのが強く感じられた。ライブの中でもジェンがコール・アンド・レスポンスをしたり、田原さんとナカケーがMCで話したり。これまで桜井和寿一人のバンドという側面が強かったミスチルだが、そんな彼を支え続けてきたメンバーがいたということを再確認させられ、バンドっていいなと思わせてくれるのがこのアルバム。
「未来へ続く扉 相変わらず僕はノックし続ける」という歌詞は終わりなき旅の「閉ざされたドア」のその先にある物語を思わせる。そしてこれだけの年数を重ねてもまだチャレンジ精神を失っていないんだというバンド四人による宣言のような曲だ。
まとめ
ミスチルがこれまで培ってきて持ち合わせる球種を全て投げたと櫻井は語っている。マスという概念が崩壊しかけている中で、これまでのミスチルの最も得意としていたお茶の間レベルに投げかける曲だけでは生き残れないという危機感がメンバーにはあったのだそう。そんな環境なだけあって、これまでミスチルファンにしか受け入れられなかったであろう曲も全て盛り込んだアルバムを出したということだ。REFLECTIONはいわばこれまでのミスチルの振り返りという意味合いと新しいミスチルという意味合いの二つを持っていたアルバムだったように思う。『HOME』や『SUPERMARKET FANTASY』の頃は客に与えることに専念し続けたミスチル。その反動としてファンとしては彼らのエゴの部分をもっとみたいと思うようになった。そんな中で彼らはバンド四人の物語を発売前のライブやドキュメンタリー映画、発売後のライブで作り上げた。
そして今もMr.Childrenは新たなチャレンジをしている。マスの消失という文脈からか、最近のミスチルからはコアなファンを大事にする姿勢が強く見られる。小規模なホールツアーの開催やマニアックなセットリストの構成などコア層に向けた活動が増えているように感じる。そしてREFLECTIONでは四人で作り上げていくサウンドを強調していた一方で最近のホールツアーではサポートメンバーを多く加え、よりゴージャスで彩りのある音楽を追求している。
ミスチル現象を終え、盤石な地位を気づき、富も名声も全て手にしてもなおバンドが進化し続ける。そんな普通じゃないことをやり続けているのがMr.Childrenなのだと思う。これからも彼らは新しいチャレンジで僕らをワクワクさせてくれるに違いない。
4回にも渡る長編の特集で書きたいだけ書かせていただきました。お付き合いいただき誠にありがとうございます!
べスト盤に収録されていないアルバム曲でミスチルの歴史を振り返る③ (HOME~ブラッドオレンジまで)
これまで二回にわたってMr.childrenの歴史を振り返ってきた。
今回はアルバム『HOME』以降のミスチルを見ていきたい。私は『HOME』以降のミスチルは音楽に対してのスタンスが大きく変わったように感じる。これまでミスチルの音楽は彼ら自信を救うために奏でられてきたように感じる。しかし『HOME』以降のミスチル(というより桜井和寿)は誰かのために音楽を奏でるようになったように思う。このころ、彼自身の活動にもそんなスタンスの変化が表れている。2004年に環境問題や社会問題に対しての資金を集めるためのバンドであるBANK BANDを結成。その後2005年から2012年までの間毎年夏にap bank fesというイベントを開催。桜井自身この活動を音楽への恩返しと述べている。これまで音楽によって自分自身を救済し続けてきた彼の音楽への取り組み方が大きく変わったのはこの時だろう。
2006年のap bankで深海期には考えられないような当時の新曲「彩り」を披露した。その際のMCからも当時の彼の音楽に対する姿勢が垣間見える。
そんな「彩り」も収録されたアルバム『HOME』のアルバム曲からまずは何曲か紹介していく。
アルバム『HOME』
Wake me up!
夜明けを祝福するかのような明るいメロディー。「表彰台に上った記憶なんかない それで何不自由なく過ごしてきた」や「革命は起きない ありきたりの日々を 祈るように生きよう」というフレーズがこのアルバムの世界観を作り上げている。
Another Story
演奏がおしゃれな曲。タイトルの「Another Story」というのは前作「靴ひも」の物語ともう一つの物語という意味。両方とも歌詞の中にバスが登場する。
PIANO MAN
「Another Story」と「PIANO MAN」はアルバムの中盤を飾っているが、比較的優しい雰囲気の曲が多い中この二曲はとにかく音楽で楽しませることに専念しているように感じる。
もっと
前作に収録された「僕らの音」と同時期にはできていた曲だという。911に関して歌った歌。「どんな理不尽もコメディーに見えてくるまで 大きいハート持てるといいな」という歌詞が秀逸。911という遠い世界の出来事を歌いながら、日常の悲しみにも寄り添える歌詞になっている。
やわらかい風
まさに『HOME』の世界観を忠実に再現している。ピアノやストリングスで優しい雰囲気を作り出している。春になり温かくなってきたころに聞きたくなる曲。
ポケットカスタネット
『Q』に収録されている「CENTER OF UNIVERSE」と同様、曲の途中でテンポが上がったり曲調が変わるというのはミスチルがよく使う手法。その後のライブでも何度か演奏されいる曲で、メンバーの思い入れも強いのかもしれない。「お天気がすぐれない日は君の心にある雨雲を 取り除いて太陽を差し出せる存在 そうありたい」という歌詞にまさに彼らのバンドとしての理想像が描かれているような気がする。
- アーティスト: Mr.Children
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2007/03/14
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アルバム『SUPERMARKET FANTASY』
終末のコンフィデンスソング
なんの変哲もない日常を描いた一曲。ギターのイントロやAメロの脱力した感じは「このアルバムは肩の力を抜いて聞いてくれよ」というメッセージにも感じる。音楽配信等がスタンダードになってきていた時代、音楽が消費されることが当たり前となりつつあった時代を憂いながらも、アルバムタイトルにもあるスーパーマーケットのように消費されることを受け入れ、とりあえず今を楽しもうという今作のコンセプトが感じられる一曲でもある。
ちなみにこの曲のタイトルから当初「ミスチル解散説」なるものが出たらしい笑 しかも結成20周年記念でこのアルバムを引っさげたツアーのタイトルも「終末のコンフィデンスソングス」というタイトルであっただけに、ファンの間で不吉な予感が出てくるのも納得。
少年
世界観としてはどこか「靴ひも」に似ている気がする。溢れる情熱と青春感。歌詞も秀逸。「日焼けしたみたいに心に焼き付いて 君の姿をした跡になった」「ひまわり熱りが取れなくてまだ消えずにいるよ」であったり、「蝉が死んでいったって熱り取れなくて」という表現からも夏の終わりの曲のように感じる。
ロック調の曲であるのだが、ギターがそこまで主張していないのがなんだかもったいない曲な気もする。この時期はプロデューサーの小林武の影響が最も強かった時期のようにも思える。『HOME』あたりから、コバタケの影響が強くなりすぎて、楽曲がピアノまみれになったなどという批判がちょくちょく出ていた。確かに深海期のミスチルはこの時代よりロック色が強かった。その当時のミスチルが好きなファンにとってはこの時代のミスチルの曲に刺激が足りないと感じてしまうのもわからなくもない。
口がすべって
桜井はこのアルバムを生活の中のお茶づけくらいに捉えてくれればいいと語っている。「口がすべって」そんな人生のバックトラックになることに徹しているように感じさせられる。桜井の中でエゴのようなものがこの時期完全に消えていて、内面吐露のようなものに全く興味がなくなっていた時代。この曲はカップルのいざこざを書いていながら、国家間の争いのような裏の壮大なテーマも込められた楽曲である。今度流れ星を見たら自分以外の誰かのために祈ろうというCメロの歌詞はまさに当時のミスチルの音楽そのものだ。
水上バス
地味にファンから愛されている曲。「水上バス」に乗りながら観光客に混じって笑って手を振る君という、めちゃくちゃマニアックなシチュエーションを歌っているのに、なぜか自分の経験に落とし込めるように感じさせてくれるのがこの曲の凄さだと思う。この曲もとにかく作り手のエゴがそぎ落とされている。このアルバムはミスチルビギナー向けという評価を良く受けるが、確かにこの曲は相当とっつきやすい。しかし一方で「ミスチルも丸くなってしまったなぁ」と思ったファンもいたことは間違いない。
東京
「口がすべって」「水上バス」「東京」の三曲は決して派手な曲ではないが、このアルバムの核となっていると僕は解釈している。くるりやきのこ帝国、ケツメイシ、福山雅治など名だたるアーティストたちが名曲を残している「東京」というタイトル。ミスチルの「東京」が他のアーティストの「東京」と違うのは、東京出身者からの視点で東京が描かれているという点である。目まぐるしく変わり、愛着を持つ間もなく変化していく無機質なビルが立ち並ぶ東京をポジティブに描いている点が、このアルバムのコンセプトにピッタリだ。「この町に大切な人がいる」というフレーズは企業のキャッチコピーにも使えそうなクオリティー笑
羊、吠える
Aメロの脱量感がたまらなくいい。天頂バスや終末のコンフィデンスソングのAメロもそうだが、時々見せるこの脱力感のミスチルの一つの武器である。当時ミスチルは優しい音楽を歌うイメージを持たれており、バンドとしても、もはやわざわざ尖った曲を作らなくてもやっていけるような地位にいた。おそらく私生活でも子宝に恵まれ、再婚した奥さんとの生活に満足していたのだろうか。そんな中現状に満足してしまっている自分を憂いているような曲にも感じる。
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アルバム『SENSE』
I
このアルバムはMr.Childrenと小林武の音楽の才骨頂に達したアルバムだと思う。このアルバムはプロモーションも全くせず、センスプロジェクトと呼ばれる特設サイトにて「ドビウオニギタイ」という謎のメッセージのみが提示されたり、謎すぎるCMを売ったり、曲名とアルバムタイトルを発売まで一切明かさないという史上初の試みをして見せた。
そんな中で一曲目がこのインパクトなのだからかっこよすぎる。HOME~an imitation blood orangeまでの丸くなったミスチルの中では異彩を放つアルバムとなっている。
I'm talking aout Lovin'
初期のような初々しさの楽曲だがさすがにベテランとなっただけあってかなり完成度が高い。
ロックンロールは生きている
ベスト盤にも収録された「擬態」と並んで。アルバムの核となる一曲。ミスチルは自他ともに認めるポップスバンドであるが、彼らの中にもロック魂が生きているという意思表示の一曲でもある。ちなみに『SENSE』のクジラが水面に出てくるジャケット。一年以上沈黙を続け、突如としてこのインパクトのある作品を出した当時のミスチルを象徴ている。ちなみに当初コバタケが考えていたアルバムタイトルの候補には「クジラ」という名前もあったそう。そんな水面から飛び上がったクジラとこの曲のイメージがぴったり合う。
ロザリータ
「ロックンロールは生きている」からこの曲への繋ぎがとてもいい。こういう完成度の高いものはやはりコバタケがいたからこそ作れたものなのだろう。憂鬱でけだるい雰囲気と終始おしゃれなアコギがなり続けている感じがいい。スナックのママが歌っていそうな昭和感溢れる一曲。決して派手な曲ではないのだが、管理人である私がミスチルを好きになるきっかけを作ったのが実はこの曲だった笑 おそらくミスチルファンの中で「ロザリータ」を聴いてファンになったという人はほぼいないだろう笑
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アルバム『[(an imitation)blood orange]』
hypnosis
雰囲気で言えば「終わりなき旅」のような感じだろうか。「終わりなき旅」はギター中心のアレンジであるのに対して「hypnosis」はストリングスが中心となっている。デビュー20周年を記念するPOPSAURUS2012のインタビューにて桜井は「また終わりなき旅のように誰かの背中を押せるような曲が生まれたらうれしい」という旨のことを話している。そんな楽曲を目指したのが「hypnosis」なのかもしれない。しかし後に発売する「REFLECTION」に収録されている「足音」や「Starting Over」も同じような系統の曲だが、この二つの存在感が大きすぎて、「hypnosis」の影が薄くなってしまっている感はある。個人的な解釈ではあるが、この曲が次の作品となる「REFLECTION」に影響を与えている気がしないでもない。
イミテーションの木
とても温かい歌。田原さんのギターがとても聞いていて気持ちがいい。前作では「擬態」や「ロックンロールは生きている」にもあるように、「偽物に騙されるな!」というテーマがあったのに対し、今作では「張りぼてでも人を癒せるならいい」という対称的なテーマを持ってきているのが印象的。ブラッドオレンジというアルバムは批判意見も多く集めた。確かにこのような音楽はすでに『SUPERMARKET FANTASY』でやっているし、マンネリ化している感が否めない。そして後のインタビューでも明らかとなっているが、このアルバムが発売する前にコバタケは「POPSAURUSU2012」のツアーを境にミスチルから手を引こうと思っていたそう。しかしメンバーとしてはまだまだコバタケに残っていてほしいと思っていたらしい。
コバタケとミスチルの音楽は確かに前作『SENSE』で完成していた。そのままの構成でこれ以上新しい刺激を作れるような状況下にはなかったのかもしれない。そんな背景を踏まえずに曲として聞けば「イミテーションの木」は素晴らしい曲なのだが、当時のミスチルの文脈を踏まえると、多くのファンはもっと刺激のある物を期待していたのかもしれない。
インマイタウン
年末になると必ず聞きたくなる曲。ジャジーでおしゃれでかつかっこいい。未だにライブでは披露されたことがないが、ぜひライブで聞いてみたい一曲。ただ演奏と世界観の再現が難しそう。
過去と未来と更新する男
明るいポップス系の曲が多い中で異質な雰囲気を出しているのがこの曲。アルバム発売当時私が最も聴いた曲でもある。占い師が主人公となっており、恐らく震災の影響をかなり受けている楽曲。このアルバム全体に言えることだが震災の一年後に作られたこともあり、かなりそれが意識されているように感じる。この曲もそうだが、アルバムを通してナカケーのベースがめちゃくちゃかっこいい。
[(an imitation) blood orange](初回限定盤)(DVD付)
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まとめ
ここまでHOMEからブラッドオレンジまでの楽曲を見てきたが、この時期はミスチルがもっとも丸くなっていた時期かもしれない。ライブでも確かにピアノメインの楽曲が増えた。それをコバタケのせいにする意見もあるが、バンド全体としてこの時期は安定志向に入っていて、リスナーを感動させることにフォーカスを置いていた時期だったのかもしれない。この反動もあってか次回作にして最新作の『REFLECTION』ではミスチル史上最もインパクトの強いアルバムとなった。そして何よりコバタケが製作の途中で製作チームから脱退している。これにより、より四人のバンドとしての意識が強まった。次回はそのあたりの経緯やREFLECTIONの楽曲を紹介していきたい
ベスト盤に収録されていないアルバム曲でミスチルの歴史を振り返る② (It's a Wonderful World~I♡U)
アルバム『It's a Wonderful World』
Dear Wonderful World & It's a Wonderful World
One Two Three
渇いたkiss
ファスナー
LOVEはじめました
UFO
不倫時代の桜井の気持ちを吐露した曲と言われている。メロディは爽やかで青春感が溢れているのだが、歌詞は罪悪感やドロドロの三角関係を描いている。この曲はまだライブで披露されたことがない(はず?)だがファンの評価も高い。「UFOこないかな?」という投げやりな歌詞が好きだ笑
アルバム『シフクノオト』
言わせてみてぇもんだ
PADDLE
花言葉
Pink~奇妙な夢
天頂バス
空風の帰り道
アルバム『I ♡U』
Monster
靴ひも
CANDY
潜水
まとめ
アルバム曲でミスチルの歴史を振り返る① (EVERYTHING~Qまで)
2017年5月10日。Mr.Childrenがデビュー25周年を迎えた。このバンドがなぜこれほどまでに愛されるのかを考えてみたところ、一つの結論にたどり着いた。このバンドは一つの物語の上を生きているのだと思う。彼らのアルバムはストーリー性が強い。夢に向けて駆けあがる青年を描いた初期、夢を叶え虚無感に苦しんだ暗黒期、暗黒期から復活しポップスバンドとしてリスナーを楽しませると決めた2000年初期、死の淵にまで追い込まれ身近なものへの愛を歌うようになった2007年前後、音楽家としてのエゴを捨てリスナーの背中を押す曲を書き始めた2010年前後、バンドとしての真価を問い直した最新アルバムリフレクションなど、4人の進化がここまで明確に見られるバンドはない。まるで一冊の本を読んでいるような彼らのバンドとしての軌跡を、アルバム曲を紹介しながら振り返っていこうと思う。この記事ではシングル曲や認知度の高い曲はできるだけ避け、ある程度コアなファンにしか知らないような曲をあえて選んだ。「この曲がない。やり直し。」みたいなものがあればぜひコメント欄に書いてほしい。
アルバム『EVERYTHING』
Children's World
最近は2016年夏の未完ツアーで披露されて話題を生んだこの曲。未完の映像作品ではイントロの部分で女の子が泣いているカットが印象的。Mr. Childrenという伝説の始まりとも言える一曲。大ヒット、全盛期から暗黒期、いろんな物語を経た彼らの原点が垣間見える一曲。
アルバム『KIND OF LOVE』
虹の彼方へ
Distance
車の中でかくれてキスをしよう
アルバム『versus』
Another Mind
マーマレードキッス
さよならは夢の中へ
アルバム『Atomic Heart』
クラスメイト
ジェラシー
アルバム『深海』
シーラカンス
虜
深海
アルバム『BOLERO』
タイムマシーンに乗って
Brandnew my lover
傘の下の君に告ぐ
幸せのカテゴリー
アルバム『DISCOVERY』
DISCOVERY
Simple
#2601
アルバム『Q』
CENTRE OF UNIVERSE
スロースターター
つよがり
十二月のセントラルパークブルース
友とコーヒーと嘘と胃袋
ロードムービー
街灯が2秒後の未来を照らし オートバイが走る等間隔で置かれた 闇を超える快楽にまた少しスピードを上げてもう一つ次の未来へ
Hallelujah
「亀田興毅に勝ったら1000万円」に見たYoutuberジョーのセルフプロデュース力の高さ
惜しくも亀田興毅に敗れたジョー。しかしチャンネル登録者数数は約8万人増える
ジョーに見るこれからの社会の生き抜き方
いい意味でバカ
コンテンツ製作能力の高さ
まとめ
Mr. Childrenへの想い
25周年を迎えるMr. Children
病気のようにミスチルを愛してたあの頃
ナサケモノのミスチルにまつわる黒歴史3選
1.服選びの基準は桜井さんっぽいかどうかだった
恐らく多くの男子高校生が陥ったことのあるこの現象。好きなアーティストや俳優の服装を真似てしまう年頃。スピッツの「醒めない」の中で「カリスマの服真似た 忘れてしまいたい青い日々」という一節があるが、まさにそれである。今思い出しても枕に顔を埋めて足をバタバタさせたくなる笑
2.学校でミスチルについてプレゼンした
僕のいたインターナショナルスクールでは年に一度Language Festivalというイベントがあった。英語、第二言語、母国語の三つのセクションでそれぞれ何かしらの発表をするというイベントだった。日本語の部門で僕はミスチルのとこをプレゼンした。特にミスチルに興味のない人たちに向けてミスチルのアルバムを紹介したり、解説した。しまいには当時の新曲の「REM」を紹介きてしまったり。いわゆる公開オナニーである。
3.学年全体に向け「and I love you」を弾き語り
僕にいろいろな世界を見せてくれたミスチル
ハンガリーとスロバキアの国境沿いにある田舎町コマロムへ!【春の欧州旅行記12日目】
昼過ぎにブダペストを出発し友人の実家があるコマロムへ。私の友人の友人も何人かブダペストに住んでいるのだが、みんな大体週末は実家に帰るらしい。移動時間で言うと大体1時間半くらい日本で言えば、東京の都心に住みながら週末は群馬や栃木あたりに帰るような感覚だろうか。日本人だったらわざわざ毎週帰りはしないだろうなと思うけど家族の距離感みたいなところが若干違うのかもしれない。
電車でコマロムへ!
ブダペスト東駅で菓子パンのようなものを購入。友人におすすめされて買ったが甘すぎてあまり好きにはなれなかった笑 電車に乗りいざコマロムへ!
駅に着くと友人の叔母が車で迎えに来てくれていた。駅から家は近く、車で5分~10分くらい。到着し、3年ぶりに来た友人の家。祖父母もお元気でハンガリーの家庭料理を御馳走してくれた!今日一日まともなご飯を食べていなかったのでおいしい!
一家のプライベート農園へ
その後友人の父母が帰宅。お父さんが一家の畑を見せてやるということで、家から10キロほど離れた畑へ。冬の時期であったこともあり、作物はなかったが植えてある種などの説明を嬉しそうにしてくれた笑 そして自家製の葡萄からできたワインも飲ませてくれたり、自家製のパリンカ(ハンガリーのウォッカ)を飲ませてくれたりした。
歴代の王様の別荘地タタ
そのままさらに車で2~30分離れた場所にあるタタという場所に向かった。タタは元々ブダペストにいた王様の別荘地があった場所だ。大きな湖がありその横にはお城がある。お城の半分は戦争でやられてしまったそうだ。ハンガリーの歴史についてもお父さんが熱く語ってくれた笑 友人のお父さんは典型的なヨーロッパのナショナリズム精神が強く根付いた田舎のおじさんという感じだ。なんというか自分の周りにはいないタイプの人なのでたまに会うと新鮮。
衝撃の地下室!解体された豚が丸々!
家に帰り今度は地下を見せてもらえることに。地下にはヒーターを稼働させるための火がたかれていたり、先月解体した豚の肉が丸々貯蔵されていたりいろいろすごかった。 超の部分を手で切り一口食べてみなと差し出された笑 加工されていないソーセージというものを初めて食べたw
スロバキアへ!
その後自転車でスロバキアに渡り、バーへ。友人の幼馴染の女の子(2個年下)と会う。三年前にあったときはだいぶ幼かったがすごく大人になっていて綺麗だった。その女の子の彼氏とそのバンド仲間と一緒に飲む。こっちの人は本当に初見の人にも優しい。飲みながらいろんなゲームをして盛り上がる。
そして家に帰り昔の写真などを振り返って思い出話をしてから就寝。
次回は朝早くブダペストに戻り飛行機に乗ってオランダへ向かいます!